スキャナーに収まらないサイズの絵を学校や幼稚園では平気で描かせますね。保存場所の確保が難しい狭小住宅に住んでいる場合、それらの取り扱いにはとても苦労します。こういった絵をデジタル化する方法についてポイントをまとめました。
微妙に入りきらない習字程度の大きさなら
半紙のサイズはA4よりもちょっと大きくてスキャンできないですね。しかし、スキャナーに付属のソフトや、フォトレタッチソフトによっては、一度にスキャンできない大きさのものを分割して読み込み、パソコン上で合わせてまた一枚の絵につなぐ機能があります。まずは手持ちのソフトの説明書を確認し、貼り合わせ機能がないか確かめてみましょう。貼り合わせることができると、A2サイズくらい、つまり4回くらいに分けてスキャンできる大きさ程度なら比較的きれいにデジタル化することができます。
例えば、我が家で現在使用しているスキャナー付属のソフトではA3サイズの用紙を2回にわけて貼り合わせる機能があります。B4の学校プリントで重宝しています。ただし、スキャナー付属ソフトの場合、単純なつなぎ機能しかないために、真ん中のつなぎ目が目立ちやすいです。そこでよりきれいに残しておきたい絵画作品には「Adobe Photoshop Elements」の自動合成機能を使って貼り合わせています。
凸凹していてスキャンできない絵画作品なら
ビーズや綿などがついている、あるいはクレヨンなどスキャンすると読み取り面ガラスが汚れそうで怖い作品は、スキャンサイズに収まるとしてもちょっとためらいますよね。クレヨンなら拭けばなんとかなりますし、葉っぱ程度の凹凸ならスキャンできます。しかし凹凸が激しい作品を無理にスキャンするときれいに読み取ることができません。こういった凸凹絵画作品は平面に描かれた絵というよりも、立体作品としてとらえた方がよいです。
立体作品はスキャナーを使うよりも、デジタルカメラを使ったほうがきれいに保存できます。以下は立体的絵画作品や大きな絵画作品をデジタルカメラできれいに保存する方法です。
思い出として残したい場合は
作品そのものが重要というよりも、そのときの子どもがこういう絵を描いたんだよという「思い出要素」が重要な場合は、作品だけを撮るよりも子どもと絵を一緒に撮って残すほうが、より思い出になります。
例えば壁に絵を貼って、その前で記念撮影したり、子ども自身に絵を持ってもらい、絵と子どもが収まるように撮影すると素敵になりますね。
作品そのものをきれいに残したい場合は
デジタル化した後に縮小写真を額縁に入れて壁に掛けておきたいなど、より作品そのものをきれいに保存することが求められる場合があります。この場合はデジタルカメラをスキャナー的に使う工夫が必要です。
まず、デジタルカメラの手持ち撮影では手ブレ防止機能があったとしても手ブレが起きてしまいますので、必ず三脚を使います。三脚が用意できない場合はテーブルやイスなどを利用しましょう。
次に絵画作品です。こちらも手ブレ防止策として壁に貼り付けます。床置きでも撮影できますが、環境によっては三脚の足が映り込んでしまうなど、予期せぬ事態が起きる可能性がありますので、壁のほうがよりきれいに撮影できるでしょう。テープや画びょうで壁を絶対に汚したくないという場合には、ベニヤ板やアクリル板、スタイロフォームなどのボードを利用するとよいです。貼り付け時に画びょうを使うと、作品に画びょうが写り込んでしまいますし、画びょうの影が作品上に落ちますので、絵の裏にテープを貼って留めるほうがよりきれいに撮影できます。ただし学校で描いた絵はすでに教室で画びょうを使って貼られていることが多いですし、絵画作品を持ち帰ってくる時期が学期末や学年末で、大量にまとめてドサッとということが多いです。一枚一枚丁寧に、が基本とはいえ、まあ面倒くさいのも事実だったりしますので、画びょう留めでもなんら問題はないと思います。画びょうを使うときは画びょうを刺す方向を工夫すると、できるだけ絵に影が落ちないようにすることができます。壁は当然白い方がきれいですが、白と一口に言ってもいろいろな白があるので、あまりこだわらないほうがよいでしょう。とにかく絵をピタっと固定することが重要です。
次に気を付けたいのが光、つまりライティングです。撮影するのは平面の絵ですので、できるだけフラットな状態、つまりまんべんなく光を回して影を作らないライティングを心がけます。デジカメフラッシュだと強い影ができる可能性が高いので避けてください。あらゆる角度からライトを当てて影を消すか、真正面からライトを当てるとよいです。ライトの色のことを考えるなどライティングはかなり難しいです。フラットに当てるのが難しい場合は、むしろ光を当てない工夫をする方が簡単です。カーテンで太陽光を遮り、薄暗い場所で撮影すれば絵に影が落ちにくいです。ただし真っ暗にすると何が何だかわからなくてピントすら合わせられなくなりますので注意しましょう。例外は「かなり立体的な」絵画作品です。絵具の何重にも塗り重ねて立体的にしていたりと、むしろ立体であることを感じ取ってほしい作品の場合は、フラットに光を当てると作品として成り立ちません。この場合は、何通りかの光の当たり方をさせて、光の当たり方による絵の変化を残しておくほうがよいでしょう。ただその場合も平均的な光が当たった平均的な絵を残しておくのは無駄にはなりません。同じ絵を何回も撮影するのは大変なことですが、その作品の重要度も考慮した上で何通りかのライティングに挑戦してみることをおすすめします。
カメラのレンズと絵は直角になるようにしましょう。角度がつくと絵が歪んでしまいます。三脚に付属の水準器を利用したり定規や分度器などを利用してできるだけ直角になるように心がけてください。といってもあまり神経質になると面倒ですのでほどほどで構いません。ただし、フォトレタッチを使えばあとでどうとでもなるという撮影をすると、余計に面倒になるのでできるだけ直角になるようにはしましょう。
レンズは望遠レンズを使うかズームのT側を使います。デジタルズームは絵が汚くなるので光学ズームを使ってください。W側や広角レンズを使うと絵が歪みますので気を付けましょう。ただし撮影できる場所が狭い場合、望遠を使うと撮影できないという事態も想定できます。この場合は「できるだけ」望遠側で撮影するようにしましょう。撮影場所を変えるのも方法です。
一眼レフカメラを使用する場合はマニュアル撮影モードか絞り優先モードにします。できるだけF値を高くするため絞り込んでください。絞ることでよりシャープな絵を撮ることができます。ISO値は低くし、できるだけデジタルノイズが撮影画像に入らないようにしましょう。デジタルカメラの場合はマニュアル撮影モードなどがない場合がほとんどです。取り扱い説明書を確認し、フラッシュ不使用で絞り値が高く、シャッター速度が遅い長時間露光できるモードがないか探してください。我が家にあるデジカメでは星空モードあたりかなと思いますが、メーカーや機種によっていろいろだと思います。デジカメだとぶっちゃけ不満が高まることがほとんどですので、迷っている場合はさっさと一眼レフを手に入れたほうが後悔しません。
ピントを合わせるのも重要ですね。オートしか使えない場合はオートで合わせるしか方法はありませんが、ピンぼけを防ぐためオートでだいたい合わせた後にマニュアルでさらに合わせなおすのがおすすめです。カメラの液晶モニターで拡大して合わせたり、パソコンに接続してカメラを完全にパソコンで操作するのがおすすめです。
セルフタイマーを利用します。一眼レフでレリーズ使用の場合でも万が一のことを考えるとセルフタイマー利用がおすすめです。シャッターボタンを押すとどうしても撮影の瞬間にブレが生じます。ブレると絵がぼんやり撮影されることになりますので、細心の注意を払うに越したことはありません。
被写体である絵とカメラが直角に向き合い、影が絵に落ちないフラットな光、歪みの少ない望遠レンズを使い、絞り込んでセルフタイマーを使って長時間撮影という条件で撮影すると、結果的にスキャナーでスキャンするのと同じようにシャープな仕上がりを得ることができます。
大切な我が子の絵画作品。丸めて輪ゴムでしばって押し入れでカビさせるのはもったいないですね。スキャナーが使えないほど大きな絵画作品は、たしかにスキャンよりはデジタル化が難しいですが、やり方さえ覚えておけばそれほど難しくありません。ぜひおぼえて作品をきれいに残しましょう!