アニメーションの絵、動画は鉛筆を使った線画ですが、色鉛筆も使われていることはごぞんじでしたか?どんな場所に色鉛筆を使うのか紹介します。
「影」指定のために使われる色鉛筆
アニメのキャラクターは、「黒」の線で囲まれた線画です。
線画の中をいろいろな色を使いパソコン上で塗りつぶしています。通常はこれだけでも良いのですが、黒い線が見えると困るような場所もあります。
たとえば、顔や髪の毛の端に見られるような「影」の表現です。
通常の顔の色よりも一段階暗い色に塗り分けることで影を付け、立体感を出す方法です。通常の色と影色の境目が黒い線で区切られていると、影ではなく、別の部分のようにも見えてしまいますし、なんとなく汚い絵になってしまいますね。そこで、境目となる線は鉛筆による実線ではなく、色鉛筆の線でここが境目だよという指定をします。彩色担当者は境目の線を通常の色か影色で塗りつぶすのです。境界線を通常の色で塗りつぶすのか、影色で塗りつぶすのかはまったくの自由なのですが、同じ画面の中で変えると、「ブレ」が起こってしまうので統一することが必要です。
影以外ではこんなところにも
そのほかには、炎や爆発、水などのエフェクトアニメのように、実線は用いずにすべて面塗りだけで表現するようなものも色鉛筆で描かれます。
ところで色鉛筆はその性質上、細い線を引くのがあまり得意ではありません。エフェクトのメインとなる部分は鉛筆の細い線で引き動画用紙には、彩色の際に黒い実線ではなく、面の色と同じにするよう指示する方法も可能です。少人数、あるいは一人で作るような場合は、意志の疎通もしやすいので、この方が良いかもしれません。
「影色」の他にも、実線と同じ黒で塗りつぶす「BL(black)」、光の当たっている部分を表現する「ハイライト」などがあります。このような部分は動画作成時にはっきりと指示しておかないと、後でどこがどうだったかわからなくなるという事態が起こってしまいます。
そこで、動画用紙に境界線を色鉛筆で引き、区切った中も薄く色を塗っておきます。やり方はだいたい決まっていて、BLは実線の中を緑色に塗った上で、BL→のように文字でも指定します。ハイライトは赤色鉛筆の線で囲み、中を黄色、さらにハイライトと文字で書く場合もあります。影は青色鉛筆で囲みます。影はBLやハイライトで使わない色であれば何色で塗っても構いません。
作業環境にもよりますが、通常のスキャンを考えた場合、動画用紙の表側に色を塗ってしまうと、それもスキャンされて彩色段階で大変なことになってしまいます。ですから動画用紙の裏に色を塗ります。境界線はスキャンされないと困るので、表側に引きます。そのほかには境界線は別動画用紙に書くとか、二階調化の際に実線と境界線のぶつかったところがわかりにくくなるのを避けるために区切り線も入れる、あるいはソフトウェアで識別するなど色々な方法が考えられます。が、とにかく最終的な絵に問題がなければどのような方法を取っても構いません。
アニメ動画作成の際には鉛筆の他に色鉛筆も用意しましょう。