アニメ作画において絶対必要不可欠なライトボックスの紹介です。いつどうやって使うのかなど
アニメーターといえばトレーサーだよね
アニメで絵を描く人=アニメーターさんの絵を描いている作画風景の映像や写真などを見たことがありますか?
そこに必ず写っているもの、それは鉛筆、動画用紙の山、タップ、そしてトレーサーです。アニメーション制作現場ではどちらかというと、トレーサーというより、ライトボックスという名称のほうが一般的な気がしますが、気がするだけかもしれません。
基本的にアニメーターさんは作画作業において、このライトボックスが無いと仕事になりませんし、そもそも作業ができません。描いた動画をパラパラとめくって、動きの確認をしている風景もよく見られますが、あれは確認作業にすぎません。常識的に考えても、パラパラとめくり「ながら」絵を描くのは不可能ですよね。一枚一枚の絵を描くときは、普通に絵を描くときと同じで、机の上に紙を固定して描きます。
なぜトレス台が必要なの?
アニメの絵は、基本的に動いて見えなければ、ただの絵です。
画面上では止まっている絵が多々確認できますが、それはコストの問題、あるいはあえてそういう見せ方をしているだけです。とにかくアニメの絵は動かす、動いて見える、これに尽きます。アニメの絵が動くためには、複数の絵が必要です。動きを表現するために、複数枚の絵を使って、動いているように見せているのです。
さてそこで、複数枚の絵を使って動きを描き出すためにはどうしたら、「うまく」作画できるかを考えてみましょう。
まず、一枚スタート時の絵を描いたとします。つぎに、1秒後の動きをしている絵を描いたとしましょう。さらに1秒後の絵を描いたとします。話をわかりやすくするために、1秒後の絵としましたが、必ず1秒後というわけではありませんので、ご承知おきください。出来上がった動画は、スタート時の絵を画面上に映した1秒後、次の絵が出てくるということを繰り返すものになりますね。
通常これでは、動いて見えません。もっと、細かく「割ら」ないと、単なる静止画のスライドショーと同じです。どのくらい割るかは、とりあえずここでは省略するとして、スタート時の絵と次の絵の「あいだ」の絵が必要だということが、わかれば良いです。この「あいだの絵」を描くためには、スタート時の絵と、次の絵を、「同時に」確認しながら作業する必要があります。
スタートの絵
次の絵
あいだの絵
最低でも3枚の紙を同時に使用しながら、作画作業を行うことになりますよね。
こんなことをするためには、どうしたら良いと思いますか?もちろん、パラパラと高速でめくりながら確認し、と同時に作画作業をする離れ業を習得する必要があるわけではありません。まあ、それに近いことをやっているような、作画風景も見られますが。
ここで必要なのが、トレーサー、ライトボックスあるいはトレース台という名の秘密道具というわけです。
三枚の絵を重ねます。裏から光を当てると、すべての絵を「透過」させながら、絵を描くことができますね。
単に光を当てるだけの物
同じ事なら、はっきり言って、昼間の窓でもできます。トレースボックスは単に光を当てるという、それだけが目的の物です。
が、複数の絵を確認しながら一ミリのズレも無いように作画作業をする必要が、ほぼ常にあったりする以上、絶対に必要な物なのです。実際のアニメーターさんを多数抱えているようなスタジオでは、動画机、あるいは作画机と言って、机にトレーサーが組み込まれた物を使っていたりもします。しかし、通常の生活をしている人がそんな物をわざわざ用意する必要もありませんね。トレース台を普通の机に載せれば済みます。
普通のお絵かきでもアニメ雑誌やマンガ雑誌のキャラクターを書き写して遊びたいなという時がありますね。そんな時にもトレース台があればトレーシングペーパーではない普通の紙に絵を書き写す事もできて便利です。遠近感(パース)のついたイラストを描く時に便利なパース定規もトレース台を使うものがあるので、お絵かきするならトレース台を一家に一台置きたいですね。