いろいろな理由から本をスキャンして電子書籍化しました。確かに部屋はスッキリしましたが、どうも気分がスッキリしません。そこで気づいたのが本棚の重要性です。
電子書籍には慣れたけれど
一度紙で読んだ本は、スキャンしてパソコンやタブレット端末に入れて読んでいます。
紙の本をぱらぱらとめくる感覚がないことに少し不満はあるものの、画面で本を読むこと自体には慣れてしまいましたし、物としての本を管理する手間がなくなったので、もう以前のように本を本棚に並べるやり方にはおそらく戻りません。
でも、これだけはあきらめられないという大きな不満が、ひとつだけあるんです。
本棚を眺めることができない
読みたい電子書籍を探すには、画面上に表示されるフォルダ分けされたファイルを見ることになります。どこに何の本が入っているのかは、だいたいわかっているし、フォルダも分かりやすい名前で分類しています。わからなくてもタイトルで検索することができるので、すぐ見つかるのですが、それでもなんというか「本をさがしづらい」んです。本棚を眺めるように本を探すことが、できない。
本棚を眺めているときのような、全体を見渡すことが画面上では無理なんです。
特に本を読みたいわけではないけれど、本棚を見ることってありませんか?たまたまそこにある本棚が目に入ってきて、暇つぶしにそこに並んでいる本を眺める。眺めて終わり、のときもありますし、気になったタイトルを手に取って、ぱらぱらとめくってみたり、気がつくと最初から最後まで読み通していたりということも。
たとえ、本棚を眺めて終わるだけでも、なんとなくそこにある本を読んだ気分になって満足する、そんな感覚、想像力が刺激されて、次の自分の動作に影響を与える…。それが画面上にはないんです。
もちろん画面上を眺めて、階層になったフォルダをクリックして、本を読んだ気になることもあります。でも、本棚を眺めるのとは違う。通常の画面は本棚ほど大きくはありませんから、手持ちの本をすべて一度に見渡すことができません。本棚なら首をちょっと上下左右に振るだけ、目を動かすだけで全体を見ることができるのに、画面移動になると、いちいち手を動かさなければいけません。本棚は見たくても見たくなくても、勝手に目に入ってくるものですが、画面は電源を付けないと出てこないので、自ら情報を取りに行く行為が必要です。
机の片隅に数冊の本を並べるだけの本棚もあれば、壁一面を使った巨大な本棚もあります。大きな本棚から好きな本を取り出して小さなコレクションを作ることもできるし、すべての本を一カ所に並べて眺めることもできます。そして眺めるだけで想像力が働く…。なおかつ、並べる本で自分自身を表現することもできるんです。
本棚は、本を持っていれば誰でも作ることのできる身近なアートだったんだな、と本棚をなくして初めて気づきました。
しかしもう以前のように部屋の大きな場所を取ってまで本棚を作るようなことはしたくありません。一冊一冊は軽くても、まとまればとてつもない重量で、かたづけの度に移動させるのは苦痛です。きれいに並べるのは大変だし、ほこりやカビの心配もしたくありません。地震で倒れたどうしようとか、火事で消失することを恐れるのもイヤです。
どうしようかと悩みました。
ニセモノの本棚を作ることにした
改めて本棚に一番求めていることって何だろう?と考えてみると、眺める、ということに行き着きました。
とにかく本棚がある場所に行くだけで、すべての本の題名を一度に眺められるようにしたいんです。見ようと考えなくても文字が目に入ってきて、本棚全体を見渡したり、近づいて一冊だけじーっと見つめたりしたいんです。
それは、便利なアプリを探すことでは解決しません。現在のところは無理があります。人任せのアプリはかゆいところに手が届かないし、そもそも大きな本棚サイズの画面を用意することができません。そんなものがもしあったとしても、起動しっぱなしで電源入れっぱなしにするのはもったいないです。
そこで、どうしようかと考えて、思い付いたのが、ニセモノの本棚を作るということです。
要するにタイトルだけでも一覧できればよくて、それ以上になる、つまり読みたくなったらパソコンなりタブレットなりを付けて開けばよいのです。本棚ごっこさえできれば、なんとか不満は解消されそうです。
具体的には、紙に本の題名だけ書いて、壁や天井など目につく場所に貼ることを思い付きました。
一番最初に試したのが付箋を使う方法です。これなら本一冊一冊の移動もできるし便利だと思いました。ところが、これはあまりうまくいきませんでした。何百冊分ものタイトルを書くのが面倒なのは仕方ないんです。それよりも一度ペラッとはがした付箋は少しクルッと曲がってしまい、壁一面がちょっとクルッと曲がった付箋だらけになって非常に見苦しいのが我慢なりませんでした。
そこで次に試したのが、やはりパソコンを使う方法です。すべてのタイトルをワードに入力して縦書きに変換→印刷してみました。
これが、現在のニセ本棚、バージョン3です。廊下の壁を利用しています。タイトルの他、大、中、小分類ラベルなども表示、シリーズ物はまとめるなど工夫し、パソコンの印刷だけでは手間のかかりそうな線などをペンで書き足しています。狭い廊下でも厚みが無いのでジャマにならずにすべての本(現在約800冊ほど)を一覧することができます。洗面所の近くなので、歯を磨きながら眺めています。絵を入れた方がよいかなとか、文字はもっと太くするべき?など、まだまだ工夫の余地がありますが、かなり自由度の高い本棚を手に入れた気分なので、これからも楽しく改良していけそうです。
追:2017/3/5 ver.4。ワードからパワーポイントに移行しました。より本っぽくなりましたが、一冊一冊を移動させるのが面倒になりました。この前のバージョンもあって、本のタイトルをできるだけ大きく見せるために字の大きさをそれぞれ調整していたのですが、無駄に目立つ本があったり、本の大きさ調節が難しいなどの問題があったために、本のタイトルの大きさをすべて統一(MS ゴシックの10)しました。以前より小型化しましたが、線で区切られているので疑似本棚として眺めやすいです。
電子書籍化で本棚がなくなって、私と同じように思わぬところで不便な思いをしている方に強くおすすめします。ぜひ一度試してみてください。