部屋を片づけるときにどうしても避けて通れないのが物を捨てること。これができないから片付けられないと考える人は多いです。でも、捨てること自体はそんなに難しいことではありません。ごみ箱に入れてしまえば良いだけです。むしろ問題となるのは捨てる事に反対する人が出てくることです。いざ片づけ始めようとすると、なんでも捨てるなと言われて結局かたづかないことはありませんか?
良いから取っておいて!
自分の物でも捨てるのは一苦労ですよね。
他人の物は思い入れがない分だけ捨てやすいですが、その物の持ち主にとっては宝物かもしれません。特に親の物や子どもの物は、自分には目に付きやすいわりに、思い入れは少なく、使っていないように見えると、つい捨てたくなる物ですが、その人にとっては「大事な物」ですから、トラブルが起きやすいです。共用物であれば、自分はあまり使っていないけれど、ほかの人はとても使っていたり、気に入っていたりする物も多いです。
一緒に暮らす以上は、なんとかしたいし、しなければいけないのですが、自分にとっては手に付けやすいところでも、親や子供にとっては手の付けにくいところもあるのです。こういう物や場所に対してあなたに全ての権限がない場合、片づけるのには大変な困難が伴います。
片づけに限らず、どんなことにでも言えることですが、他人とかかわり合いになることほど面倒で難しい事はありません。片づけようとした時に、他人の意見を聞かなくてはいけないような物がたくさんあるような場所は、思ったように片づけが進まないことが多いです。
例えば、古い建物を撤去しようとする自治体に対し、近隣住民が歴史的建造物だと主張して自分たちで保存のために出資するわけでもないのに口だけは出す保存運動を展開するのと似ています。良いから取っておいてくれ、なんでも捨てるな、いつか使うから取っておいてるんだと主張するわりに、そのものに対して責任を負わないんです。
しかし、彼らの主張にも筋が通っている部分もあることは事実です。片づけ自体が大変と言うよりも、片づけに伴う人間関係がとても大変なのです。
まずは自ら痛みを伴うこと
あなたが片づけを必要としていても、他の人はそれほど必要性を感じていないこともあります。
部屋に物が多すぎると感じているのはあなただけかもしれない、ということです。基本的に自由に捨てられる物は、あなたの所有物のみに限られますから、まずはあなたの物を捨てて減らすことから始めるべきです。大変な痛みを伴いますが、自分のみが辛いだけで他人に何も負担をかけないで済みますから、片づけはしやすいはずです。
率先して片づけることで、他の人も片づけを意識し始めるかもしれません。共用スペースでは特に「自分の物」が無いという事がとても重要です。共用スペースの片づけの必要性を訴えたときには、「お前だってここに物を置いているじゃないか」と非難合戦になることがとても多いのです。しかし、自分の物が無ければ非難の対象になることもないので、相手よりも有利な立場でいられます。もしも、相手が動じない場合は、あなたの所有物も同じかそれ以上に共用スペースを占有しても構わないことを意味しますから、最終手段として共用スペースを私物化するというカードを切ることもできるでしょう。
ヒーローの破壊行動が正当化されるのは、自己犠牲が伴っているからです。まずは自分のものを極限まで処分しない限り家族や周囲の人の理解を得られることはありません。
片づけで一番大変なのは物との関わりよりも、人との関わりですから、自分が片づけの場面において常に支配者の立場である事はとても重要なのです。