バンドや合奏曲など多人数がいないとできない演奏や録音がたった一人でもできる方法、多重録音について紹介します。
メンバーが足りない!を解決するには
メンバーを募集するのが手っ取り早い方法ですが、人間関係もけっこう面倒ですね。
音楽は作りたいけれど、自分一人しかいない。しかし何とかならないか…。
そこでおすすめするのが、多重録音です。
多重録音とは?
音楽レコードやCDを聴くと、さまざまな楽器がなっていて、何人もの声が重なっています。
でも、たとえば同じボーカルの声なのに、まるで何人も歌っているようにハモっている時がありますね。「あれ?一人でどうやって同時に違う音程の声を出しているんだろう?」と疑問に思いませんか?
実はここに多重録音という方法が使われているのです。多重録音とは一度録音した音へ、さらに録音を繰り返すことです。
簡単な多重録音の方法
普通のカセットデッキで録音を繰り返すと、前に録音した音は消えてしまいます。が、多重録音では、前の音も消えずに残っています。簡単な多重録音のやり方を紹介しましょう。まず、二台のマイク録音機能付きカセットデッキを用意します。
一台目に歌を吹き込みます。一台目に録音したテープを巻き戻します。巻き戻したテープを再生させます。再生させているテープに合わせて、歌ったり演奏したりするのです。この時に二台目のカセットデッキを録音状態にしておくと?
再生させているテープの音と、それに合わせて出した音が二台目のテープに録音されます!!前の音を消さずに、音を重ねることができましたね。
これはピンポン録音と言って、もっとも基本的で簡単な多重録音の方法です。何回も同じ作業を繰り返すと、一人でオーケストラもできてしまいます。
マルチトラックを使う理由
ピンポン録音の欠点は一台目に録音した音を二台目に録音するときに、その空間の影響を受けてしまうことです。
一台目の音を再生するときに使うスピーカーや部屋の音の響き具合などなどが、すべてまとめて二台目に録音されます。何回もピンポン録音を繰り返すうちに、音がこもったようになって劣化してしまうのです。
これを解決する方法がマルチトラックという考え方です。
マルチトラックとは?
マルチトラックとは何台ものレコーダー&プレイヤーを使う方法です。
ピンポン録音との違いは複数の「トラック」に一つずつ音を分けたままにするというところです。最初に録音した音は再生させるだけ。二台目のテープには、重ねたい音だけを録音させます。三つ音を重ねたいなら、三台目を用意します。最初に録音した音と、次に録音した音は再生させるだけ。もっと重ねたいなら、四台目、五台目…と増やしていくのです。この方法なら、最初に録音した音がこもってしまわないですね。
ただし、ここで疑問が出てきます。どうやって、全部を同時に再生させるのでしょうか?
すべてを全く同じタイミングに合わせられなければ、ずれて再生されてしまいます。マルチトラックでは何台ものプレイヤーを一つの再生ボタンで操作する必要があります。
専用機がマルチトラックレコーダー
複数のカセットデッキを同時に押す訓練は、かなり無駄ですね。そこで、登場するのがマルチトラックレコーダー(MTR)です。
MTRは複数のトラックを一か所の操作ボタンで動かすことができる専用機です。
再生ボタンを押せば、すべてのトラック(プレーヤー)が同時に再生されます。新規トラックのみを録音状態にして他は再生にすれば、どんどん音を追加できるというわけです。マルチトラックレコーダーがあれば、たとえ一人でも多重録音で音楽を作って楽しむことができますね!!