テレビアニメのようにきれいな線画を書く方法とは?アニメを作りたい人注目のテレビアニメ線画用アイテムの紹介
アニメの絵は…なんと鉛筆!
あなたは絵を描くとき何を使って下書きをしますか?
鉛筆や黒炭、シャープペンシルなどが一般的ですね。仕上げはいろいろな画材を使います。
ところでスキャンする前のアニメの線画は何を使って描かれているか知っていますか?二次アニメは線で囲まれた絵に色がつけられています。あの線は細くて均一でとってもきれいですよね。細いボールペンでも使っているのか、シャープペンシルで描いているのかと思うかもしれません。
ところが、鉛筆が使われているんですよ。びっくりしますよね。
最近なら原画段階からすでにPC上で作業なんていうのもありそうです。が、ほとんどは鉛筆で絵を仕上げて、スキャンしているんです。スキャンした後にPC上で色を塗っています。
全て一定の太さのようにも見えます。しかし、よく観察すると髪の毛の先など線の終わりに行くほど細くなっているのがわかります。特別な鉛筆でも使っているのかと言えば、そんな事はありません。完全に普通の鉛筆です。ただ、書きかた鉛筆とか事務用の鉛筆ではありません(そういう人もいそうですが)。一般的鉛筆よりほんのちょっと高めのデザイン用鉛筆がよく使われています。
デザイン用鉛筆?
鉛筆なんてどれも同じじゃないか?というのが普通だと思います。
実際私も最初はそう思っていて、けちって安い事務用鉛筆の「9800」を使っていました。でも、なんとなく紙に鉛筆が引っ掛かる感じがしたりで不満があったんですね。途中で線がかさつくとクリンナップもやり直さなければいけないし。そこで、フリーでやってる外注の先輩アニメーターさん達に相談してみたら、「鉛筆替えると全然違うよ」とデザイン用鉛筆を勧められたんです。
今までの中で多くの先輩アニメーターがおすすめしてくれたナンバーワンが「三菱鉛筆 ユニの2B」でした。実際は個人の好みの問題もあるので絶対ではありませんが、安定した人気を誇っています。3BやBが好きという人も多いです。
理由はいくつかあります。まず、値段が手頃。「ハイユニ」までいくとさすがに気が引けます。しかし「ユニスター」とかなどの安い鉛筆よりは断然描き心地が違って差が出ます。安い鉛筆より高いのは鉛筆の品質、基本性能が違うからです。メーカーサイトを調べてみたら滑らかで、均一な粒子がどれほど仕上がりに違うかも説明されていて、今まで自分が適当すぎたことを反省。
粒子の均一さは目で見えるものではありませんので、わかりにくいのですが、使うとわかります。手に伝わってくるんですよ。込み入った細かい線が必要な時でもストレスフリーです。安い鉛筆やキャラクター鉛筆なんかで、ずっと描き続けていると紙と鉛筆の間に奇妙なひっかかりを覚えてイライラすることがあります。が、この鉛筆ではありえません。安定した品質であることは、絵全体に影響を及ぼします。想像してみてください。どこを見てもきれいな粒子が行きわたっている絵と、ところどころに「小石」が混じっている絵を。
最後は、ロングセラー商品、定番中の定番のため、どこでも買えること。その辺のスーパーですら扱っているのはやはり魅力的で便利です。
アニメに求められる線とは?
アニメの絵は、基本的に「線画」です。
線は「細く、均一に、なおかつ濃く、さらには線の先に行くほど細く」。昔のセルアニメで流行っていた荒々しいタッチの線でさえ、クリンナップは細い線画で(だった気がします)。鉛筆絵画調のアニメならともかく、いわゆる2Dセルアニメはすべてにおいて均一な線が求められます。鉛筆が柔らかすぎると、紙が汚れやすいし、細い線を引くのが難しいです。硬すぎると、濃い線が出しにくいです。無理に濃くしようとすると紙を痛めます。よって仕上げならB、2B程度が好ましいのです。
下書きならもっと柔らかめ(あるいは硬め)でも良いですし、シャープペンでも構いません。下書きの絵は通常おもてに出てくることはありませんので。
誰でもアニメの線は引ける
コツを覚えるまで、ある程度練習する必要はあります。
が、だれでもアニメで使われている線が引けるようになります。いきなりあの線で絵を描いているわけではありません。まずは下書きをして、それから線を整理して完成形に近づけます。その後、新しい紙を重ねて「トレース台」で透かしながら清書をします。これをクリンナップと言います。アニメにトレース台は必須です。
下書きの段階では鉛筆を使わずシャープペンシルという人も大勢います。クリンナップ作業ではかならず鉛筆を使います。シャープペンシルだと線が均一すぎて逆に美しいクリンナップができないのです。こだわりのある方だと最高級鉛筆を使うとか、好みのブランドが決まっているようです。たいていはそこまでこだわらなくても、良いです。
アニメ絵の線を上手く引く練習とコツ
どうやってあの線を引くかですが、とりあえず鉛筆をよく尖らせておくこと。
とにかく鉛筆を削るので電動鉛筆削りは必須アイテムです。さらにいらない紙を使って、芯の先を仕上げると完璧です。均一な線を引くよう心がけます。線の引き始めは徐々に鉛筆を紙におろす感覚です。引き終わりは少しずつ力を抜いてスゥーッと持ち上げます。単に均一な線ではありません。たとえば髪の毛の先に行くほど、力を抜いて細くなるようにします。飛行機の離着陸のようにと教えられましたねぇ。
鉛筆の芯よりも太い線が欲しい場合は、芯を太くするのではなく、細い線で囲うようにします。アイラインや輪郭線に太い線が使われていますね。細い線で囲って、中の方はスキャン後に黒で塗りつぶします。むりやり太い線で書こうとすると仕上がりが汚くなってしまうので注意しましょう。
あとはぶっちゃけ練習と慣れですね。ミもフタもありませんが。単純で丸っこいキャラクターほどクリンナップの難易度は高いと言われています。人気キャラクターでド…とかア…とか、練習にもってこいです。
ただ、ぐるぐると紙に○を書くだけで、線がきれいになるという練習法も流れていました。
練習するときにでも使う鉛筆はこだわったほうが、上達は早いですよ。書けない鉛筆で無理に力を入れて書いているとあきらかに上手くならなさそうですよね。普段エレキギターの練習するときでもアンプにつなげっていうのと同じ感覚です。切れない包丁を使うほうが指をケガしやすいのとも似ています。