最近になってようやく3D映像が気になりだしました。そこで3D対応プレーヤーを購入したんですけど、あまり立体に見えなくてがっかりしています。立体感には個人差があると聞いていたものの、ここまで立体に見えないと悲しいです。ちなみに私は目が悪いので、普段はメガネをかけているんですが、これも原因なんでしょうか?もう少しだけよいから3Dを楽しみたいのですが、解決策はありませんか?
とりあえずなぜ立体に見えるかについて
知っている場合は飛ばしてください。知らない場合も面倒くさいと思うので、できるだけ簡単に説明します。
立体映像は遠くのものが遠く見えて近くのものが近くに見えるように感じる技術ですね。飛び出して見えたり楽しいのですが、なぜこんな映像が作れるのでしょうか。
仕組みは意外と簡単です。
普段、ものを見ているときは一つの画像を見ているように思っていますが、実は右目と左目で見ている画像が微妙に違います。これは右目だけで見たり、左目だけで見てみると簡単に感じることができますよね。特に近いところにあるものは片方では見えるのに、もう片方では見えないことすらあります。この右目で見た映像と左目で見た映像を脳の中で一つの画像として結び付けることで奥行きのある立体として感じています。
このような働きを利用して立体映像ができているのです。立体映像では右目用の映像と左目用の映像が別々に作られています。同じような映像ですが、それぞれ微妙に違います。右目用と左目用ですね。これら右目用の映像を右目で、左目用の映像を左目で同時に見ると、脳が普段ものを見るときと同じように勝手に一つの映像だと認識してしまいます。そして脳が両方の映像を一つの映像として処理したときに「立体だ」と感じてしまうのです。
視力で立体の感じ方に差が出る
と、理論的にはそういうことになっているのですが、ここで問題となるものがあります。
それは視力です。
目が悪いと、ものが二重に見えたりぼやけて見えたりしますよね。普段も遠くにあるものはぼやけてかすんで見えるものですが、目が悪い場合は極端な話すべてのものがぼんやり状態なのです。近かろうが遠かろうがぼやけている、どれも遠くに見える何かでしかないような状態です。つまり、目が悪いとものがはっきり見えないだけではなく、立体感が感じられないんです。
もちろん生活の中では、たとえば風景は遠くにあるものであると知っているなどの経験もありますし、なにが近くのものでなにが遠くのものなのかはだいたい認識できます。さらに当然のことながら、目が悪いのならばそこはメガネやコンタクトレンズで視力を矯正し、はっきりくっきりの視界を手に入れます。
だから視力を矯正すれば立体感も解消、、といきたいところですが、さらに問題があるんです。それは左右の視力の差です。
たとえば右目は0.1で左目は0.6などと視力に違いがあるような場合です。
普通に視力を矯正しようとするならば、どちらも1.0とか1.5とか生活に支障がない視力にしますよね。たしかに矯正することではっきりと見えるようにはなるんです。なるのですが、実は単にはっきりと見えるようになっただけではないんです。
メガネにしろコンタクトにしろレンズを通して見え方を操作します。レンズを通して見た映像はどうしてもゆがみが生じます。もちろんまっすぐなものがぐにゃぐにゃと曲がって見えたりすると生活に支障が出ますから、できるだけゆがまないように工夫されてはいますが、左右に使われているレンズの差はどうすることもできません。具体的にはものの大小がちがって見えてしまうのです。レンズによる矯正で、より大きく見えたり小さく見えたりするんです。
はっきり見えてはいるんですが、それぞれの映像の大小が違うという状況が起こってしまうということです。
通常、近くのものは大きく、遠くにあるものほど小さく見えますよね。これは右目で見ても左目で見ても相違ありません。ところが、右目で見ているものは小さく、左目で見ているものは大きく見えているというような状況になると???当然のことながら遠近不明になってしまいます。脳では一つの映像として合わせてはいるんですが、立体感は失われてしまいます。視力に違いがない場合はそれほど問題にはなりませんが、差が大きければ視力矯正度合いが違うので、こんな問題が起こってくるのです。
立体感には深視力も重要
立体を立体として認識するためには単にはっきり見えるだけではなく、左右の映像の大小も重要なんですね。
そこで、業務で立体感を必要とする、たとえばブルドーザーやショベルカーの運転手などがメガネを作成するときには、単に視力を計測し矯正するだけではなく、深視力というものも計測します。危険な作業を日常的に行うのに前後感覚が狂っていたら話になりませんよね。左右の目に写る画像がはっきりと、かつ大小が同じになるよう調整するのです。右目0.1→1.5左目0.5→1.5としたいところを右目1.1左目1.5(調整数値は適当です、あしからず)で我慢する感じですね。そうすることではっきりと見えるし、大小の差も少なくなるので正しい立体感を手に入れられ、手前5cmだけずらして土を削ったりすることができるというわけです。
普通に視力を矯正するときには、あまりというか、全然そんなことを気にしないです。どちらかというと、とにかくはっきりくっきり見えれば問題なし!という感じですよね。でも3D映像ではとても重要になってきますので、立体感がわからないとか全然3Dに見えないという場合は、一度眼鏡屋さんや眼科で検査を受けて深視力も最適化したメガネやコンタクトを作ることをおすすめします。生活上視力に問題がなくても、3D映像の立体感が感じられない場合は左右の視力差が大きいかもしれませんので、立体映像鑑賞用に深視力を最適化したメガネを作ってもよいでしょう。