アニメの動画用紙についているタップ穴と呼ばれるものを開ける道具、タッピング機とは何か紹介します。
どんな紙も動画用紙に
動画用紙は専用のものを購入して用意します。
が、もっと安い紙やもっと高品質な紙を使いたいなどの希望も出てきますよね。どんな紙でも穴さえ開ければ使えることはわかりますが、タップ穴は特殊な形をしています。いちいちカッターナイフを使って一枚一枚開けるのは、大量に使う動画用紙ではほぼ不可能です。ホームセンターの木材加工サービスのように、タップ穴を開けてくれるお店があれば便利ですが、近所にそんなところは無いのが普通。どうしてもというならやっぱり自分で…。
そんな希望を叶えてくれるのが、「タッピング機」です。
手動穴あけパンチと同じ構造
タッピング機はファイル閉じに使われる手動の穴あけパンチと同じ作りになっています。
紙をタッピング機にセットして、ガシャンとやるだけの単純構造。開けた時に出るゴミは下にたまっていきます。タップ穴にある程度距離があるため、事務用2穴パンチと比べるとかなり大きいです。かさばるのだけはどうにもならないのですが、それでも大型裁断機と比べれば小さいと思います。
手押し部分もそれなりにあるので、腕を垂直にして体重をかけ「ガッシャン」と穴を開ける感じです。推奨5枚程度ですが、力をかけられるので安いコピー用紙なら10枚くらいでも問題なく開けられます。構造は単純ですし、結構頑丈な作りになっているので、ちょっとやそっとじゃ壊れないと思います。むしろこれをこの値段でどうやったらもっと頑丈にできるのか聞きたいところです。個人レベルで穴あけを所持するならこのくらいが適当なところではないでしょうか。
穴あけ部がずれるのが気になるが
一度に開けられるのが10枚程度までなので、1セット単位で穴がずれるのだけは避けられません。端を合わせるためのストッパーは付いているものの、あくまで手合わせですので、ある程度は必ずずれます。
気になるといえば、気になるところですが、実はそんなに気にしなくても良い部分です。
なぜかというと、動画用紙はタップ穴規格で固定して使うものだからです。紙を机の上でトントンとやって、角を揃えて位置合わせをするのであれば、穴がずれていると使えないようにも思ってしまいます。しかし、実際には「タップ穴に合わせて」位置合わせをするので、その時に紙の角がズレていても、動画はズレないのです。多少のずれ程度ならタップを付けた動画を片手に持ってパラパラする時も、めくれますし、使っている感想としては許容範囲かなぁという気がします。
それでも気になるなら、タッピング機は使わないで既存の高い動画用紙でなんとかするのが無難です。気になり度にはやはり個人差がありますし。許容されるなら良いのかなという気はしますが、おそらく業務でこれを使おうとする人はいないでしょう。過去に業務使用していたことはありましたけど…問題はなかったです。
タッピング機のコスト
ある程度大きいことと、需要の少なさもあってタッピング機は値段が高めです。というか、普通の生活レベルで考えると高すぎです。
そこで、どのくらい使えば元が取れるか大まかに計算してみます。
値段は2016/4/5調べです。
通常の動画用紙、原画用紙、レイアウト用紙、修正用紙として販売されているアニメ用紙の値段がそれぞれ違いますが、だいたい100枚入り1000円程度です。
一枚あたり約10円ですね。
安い動画用紙や1000枚入りでいくらか安くなっている動画用紙だと一枚当たり9.72円というところです。
次に安いA4コピー用紙が、人気の高い500枚入りで613円なので、一枚当たり1.226円です。
もっと安いものや箱買いすると500枚入り×5で1750円というものなどもあり、こちらを利用すると一枚当たり0.7円。
タッピング機が24200円となっていましたので、ええと計算が面倒ですね。
9.72X=0.7X+24200 合ってます?
X=2682.926829…
で約2683枚コピー用紙にタッピング機で穴を開けると、同じ枚数の動画用紙を購入した金額と等しくなります。
つまり、100枚入り動画用紙を27袋分購入した後は専用動画用紙のほうがタッピング機を購入するより高くなります。
動画用紙2700枚なんて、使わなさそうにも思えますが、一秒に8枚は描くことを考えると、6分くらいにしかなりません。原画下書き、原画清書、動画下書き、動画クリンナップなどで「完成動画一枚」を仕上げるのに3枚以上使うことも考えると、2分程度で使ってしまうことになります。
どのくらい作りたいか?で決めよう
アニメでは異常なほどに紙を大量消費します。
タップやトレース台だって100円くらいで買えるものではないので、いざ作ると決めたら「それなりに」作り続けたいと考えますよね。金額で見れば、タップ一本と動画用紙100枚入り一袋を買うだけの方が安いのですが、本当に「ちょっとカスってみた」程度しか遊べないで終わってしまいます。
最初の導入時はそれでも良いと思います。
作りたい度は人によって違います。それこそ、アニメの「絵」を動画用紙を使って「なんかそれっぽく描いてみたい」だけなら、そんなに紙も使わないでしょう。下書きして、清書して、色鉛筆などを使ってそれなりに仕上げる…という「一枚絵」なら一回に2,3枚というところです。そういう場合なら、タッピング機を購入するのはあきらかに無駄づかいという気がします。
ただ、動画用紙1袋、2袋と買い足して、さらにもう少し続けたいとか本格的に自主アニメでも作ろうと思うなら、今度はタッピング機の導入を考えるべきでしょう。専用動画用紙はあきらかに高いです。使えば使うほどにタッピング機を使う場合に比べてコストがかかります。止め絵を多用すれば、紙の消費を減らし時間は伸ばせますが、それくらいならアニメじゃなくマンガにしたほうが良い気がします。なぜわざわざ時間もお金もかかるアニメなんかを自分で作りたいんだ?ということになってしまいかねません。
迷っている間にも動画用紙を大量消費することに変わりはありませんので、本格的にやるならタッピング機は早めの導入をおすすめします。